2011年4月29日金曜日

新井純が歌う「包丁お定のモリタート」


まぼろしの名曲、新井純が歌う「包丁お定のモリタート」

クルト・ワイルのモリタートのメロデーにのせて歌う、「阿部定の犬」の劇中歌。

かなりの貴重品なので門外不出。

Pianoは林光氏の演奏

「摘み取られた花の痛み」赤のファウストより


作 ゲーテ  翻訳 柴田翔  作曲 神田晋一郎  歌 森勢ちひろ




ああ 痛み多き聖母さま  

  恵み深きお心で どうか私の苦しみに 

お顔を向けて下さい

誰が知ってくれよう 私の骨身をえぐる この苦しみを?

この哀れな胸の不安 この恐れ この憧れ

それを知って下さるのはただ あなたばかりでございます

聖母さま 恥と死から私をどうかお救い下さい

ああ 痛み多き聖母さま 恵み深き御心で どうか私の苦しみに

お顔を向けて下さい
 
 
 
 
マルガレーテが母を薬で眠らせ、その夜にファウストと罪を犯し、
「罪へと私を追いやったものはとても素敵でした」
と、呟きながら聖母様に救いを求めて歌う。
 
 
赤のファウストより    演出 長谷トオル
 
 
 

2011年4月27日水曜日


「新譚サロメ」より 罪 作詞 島崎藤村 作曲・歌 小田晃生 



「罪」


罪なれば物のあはれを

こころなき身にも知るなり

罪なれば酒をふくみて

夢に酔い夢に泣くなり


罪なれば親をも捨てて

世の鞭を忍び負うなり

罪なれば宿を追われて

花園を別れゆくなり


罪なれば刃に伏して

紅き血に流れ去るなり

罪なれば手に手を取りて

死の門にかけり入るなり


罪なれば滅び砕けて

常闇の地獄のなやみ

嗚呼二人抱き焦がれつ

恋の火にもゆるたましい
 

 
 
1998年 ウンプテンプ・カンパニー第5回公演 「新譚サロメ」より 「罪」
 
戯曲 加蘭京子 演出 長谷トオル 音楽 小田晃生
 
 
 
島崎藤村の詩を用いたこの上演作品は、有名なサロメの物語を、九州の安徳神話が生き付くとある孤島に置き換えました。男と島の娘の適わぬ恋物語なのですが、神話と現実が錯綜した、もう一つの天皇神話として描かれました。
見知らぬ辺境の地で嘘と本当とが微睡む、切なくて烈しい人間の本性としてのエロティシズムを扱ったウンプテンプ・カンパニーの力作です。


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2011年4月26日火曜日

いろはうた



作曲・歌 小田晃生 「アンチンキヨヒメ」より



色は匂へど  散りぬるを


我が世誰ぞ  常ならん


有為の奥山  今日越えて


浅き夢見じ  酔ひもせず
 
 
 

1997年 ウンプテンプ・カンパニー第三回公演「アンチンキヨヒメ」より
作・加蘭京子  演出・長谷トオル  音楽小田晃生 


この上演作品は 日本中世の道成寺ものの原型となる逸話「安珍と清姫」の話をもとに、物語のモチーフを現代に置きかえ、嘘を付く男と、情欲に駆られて追う女を描いた極めて奥深い耽美的な作品です。


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2011年4月25日月曜日

蛇身を受けた女達の歌


作曲・歌 小田晃生  作詞 長谷トオル 「アンチンキヨヒメ」より

 

「蛇身を受けた女達の歌」



天使の羽が ふわりと抜け落ちるように

頬をつたう涙のしずくが

哀しみの 結晶となって 煌めいたなら・・・。



ビー玉のように 膝を抱え込んで

渇いた口から夢を吐く

その時が その時が無限になったら・・・。



 束の間が迷路を彷徨い
 
永遠と瞬間とが

出会ってしまったならば・・・。


許されるかもしれない。

 


 
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2011年4月22日金曜日

ベルナルダ・アルバの家 「本チラシ」です。


「ベルナルダ・アルバの家」本チラシです。

先日、某所で撮影した写真を使ったチラシです。
ウンプテンプ・カンパニーで写真を本チラシで使うのは初めてです。

皆さん、早朝の寒さを感じさせない頑張りようでした。

5月からこのチラシがお目とまるとかと思います。


向かって左から、
坪井美香・成田明加・こいけけいこ・森勢ちひろ・中川安奈・薬師寺尚子・内田晴子・蜂谷眞未・新井純・西郷まどか。

それからチラシの表には居ませんが、Piano演奏 神田晋一郎 Percussion則包桜(ノリカネサクラ)

 
撮影は福吉隼人 美術コーディネート、竹本さよ子  レイアウト、長谷トオル


演出と同じ人間が作ったのですから、実際の芝居を感じさせると思います。


とにかく、ベルナルダ・アルバの家は役者の芝居で魅せます。
そして勿論、音楽は生演奏で、役者の芝居に絡んでいきます。
それが僕の中で一貫した作品に対する態度であり、演出方針なのです。




  

2011年4月11日月曜日

「恐るべき子供たち」より ーおお、子供っぽい連中よー


「恐るべき子供たち」から ジャン・コクトー原作  台本 加蘭京子 


ーおお、子供っぽい連中よー

ボードレール作 「悪の華」より  音楽 小田晃生+野村卓史   訳詞 加蘭京子 









おお 子供っぽい連中よ


一番大事な事柄を 忘れないように 言うならば

 
俺達は あらゆるところで

 
見たくもない 宿命の梯子段の
 
てっぺんから真下まで

 


一面に広がる 永遠不滅の罪業の

 
退屈きわまる光景を 見たのであった





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1995年度   ウンプテンプ・カンパニー第一回公演   演出 長谷トオル

 






「牡丹江非恋歌」から ーうつろごころー

  
「うつろごころ」 


佐藤春夫 作詞  神田晋一郎 作曲









 
せつなき恋をするゆゑに



月かげさむく身にぞ沁む



もののあはれを知るゆゑに


 
水のひかりぞなげかるる。





身をうたかたとおもふとも


 
うたかたならじわが思ひ



げにいやしかるわれながら


 
うれひは清し 君ゆゑに
 
 
 
 
 
 
神田晋一郎さんの歌付きのデモ版(貴重品)





僕のお気に入りの曲の一つですから、このブログだけでしか聞けません。

演出をしている最中も、聞く度に胸が熱くなってしまう、悔しいほど良い詩と曲です。

恋しい人がいる人や、かつて狂おしく人を好きになった方、また恋をしたい方、必聴です。

本番ではウンプテンプ・カンパニーの森勢ちひろが熱唱したのですが、神田晋一郎さんの男が歌うのも切なくて素敵です。
 






「記憶の海」 ー恐るべき子供たちよりー

 
「記憶の海」         作曲・歌 小田晃生   作詞 加蘭京子







記憶の海はわたしのことを

わけもなく怯えさせます


かつては思い出をビー玉みたいに

小さく丸めて抱えていました



通り過ぎた時間の

みずみずしい部分が乾燥し

荒れ果ててゆくのを 嘆きながらも

その中に留まろうとして



幻はあらゆる形をとり

終いには観覧車の姿に変わり


消えていきました……。
 
 
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6年前 王子小劇場で上演したウンプテンプ・カンパニー 第一回公演
「恐るべき子供たち」からの一曲です。
原作 ジャン・コクトー 台本 加蘭京子 演出 長谷トオル 
 
みんな若かった。
 

「世界の果てで」牡丹江非恋歌の終曲

 
「世界の果てで」      神田晋一郎さんの歌付きのデモ版(貴重品)






あたしや

あたしが知るこの世界の

あるいは世界の果てにあるもの全てが

変わらない ありありとした法則に従っているのなら…



人は歩く意志を失えばその場にしゃがみ 熟れきった果実は大地に落ちて

飛ぶのに疲れた小鳥は梢にとまり 鯨はお腹が空くと水へと潜りだす



そして放たれた銃弾は 誰彼かかまわず体を貫き

生きる物は 苦しみの声を上げ崩れ落ちる



だれもが 不可思議な現実と共にあり 

だれもが まさかの光景を目にするたびに 

粟立つ反応と 苦い想いが沸き起こる

そう、どんなに痛い想いも 抗えきれずに沸き起こる



呟き声は耳に深く染み入り キイキイ声は耳を覆わせ

怒りの罵声は子犬を怯えさせる

喜びは喜びと共鳴しあい 悲しみは悲しみと連なりだす

そして嘆きの声は言葉を載せてどこかでしゃべり出す

  

風運ぶ 想いを乗せて空高く 遠くのどこかの 知らないどこかへ

水流れ 波打ちうねり いつしか流れ去り また流れ来る 
 
 
 
                   作曲 神田晋一郎  作詞 長谷トオル