2009年10月8日木曜日

期待して観に行ったのだが…。

昨日、雨の中自転車をこいで吉祥寺シアターまで、芝居を観に行った。
忙しい中の息抜きと、出演する昔の教え子が招待してくれたので、せっせと自転車を走らせた。

それから、黒テント時代の後輩筋に当たる奴の作・演出だったので、作風がどう変わったか、どう歳を取ったのか観てみたかった。



芝居のタイトルは『バケレッタ!』再演モノだ。

とある青色吐息の劇団が、「学校の幽霊」と言う芝居の稽古のその最中、演出家が癌を煩い死んでしまい、その公演はやがて中止になると言う筋立てのバックステージ物だった。
子供向けのミュジカル劇団という設定らしいが、そりゃあんなくだらない子供を馬鹿にしたような芝居を作ってたら、劇団は立ちゆかなくなるのは当然のこと、これが最大の構造的矛盾。

芝居は水物である事は承知で言うが、正直、観終わった後に残るのもは無かった。
安っぽいセンチメンタルだけが芝居の核なのか?おセンチな場面は決まってBGMが流れるし…何がしたかったのか?

無性に腹立だたしさだけがこみ上げてきた。本当に内容が無いのである。その一言に尽きる。矛盾だらけの薄い話を、関西人でも呆れるような、くどく相当ひっつこいコテコテのギャグと、古いネタのダジャレで埋めているだけだった。休憩中帰るお客が結構居たのも頷ける。

無理に笑わせようと狙いすぎているのは、お客が一番分かっている。
勿論ノリの良いお客は数人必ず居るものだが、他の客は全く笑えていない。

あの台本じゃあ、役者はさぞ大変だったろうと思いながら観ていた。
迎合と堕落という言葉が僕の脳裏をちらつく。
一緒に芝居をしていた奴だけに尚更だ。

それから、若い男の子達を大勢アンサンブルのように起用しているのだが、彼らの存在は物語との整合性はなく、賑やかしでつまらないギャグをさせているが、若い連中にはもっとちゃんと芝居をさせてあげて欲しかった。

どたばたギャグが悪いわけではない。これは彼のスタイルでもあるが、以前あった奥底に流れる、一貫した通底する深い思いが全く見えない。
その不甲斐なさが腹立たしい。
人情喜劇を作りたいのだったら、奇をてらわずにしっかり書いて貰いたい。

僕はギャグは稽古場で役者が作っていくものと思っているし、受けないギャグは演出は認めない。作家がつまらないギャグを書いて水増ししてどうするんだ。
僕の好きな名のある役者も出演していたのだが、本がひどいと魅力もヘチマもあったモノじゃない。

作家は書けなくなる時、いや書くべき物を失う時はある、その時は書かなければいいだけのことだ。

もっと、ちゃんと芝居をしようよ。
50過ぎの名の通った作家なのだがあまりにも幼すぎる。

この芝居を見る限り、人それぞれのセンスの問題だけでは、演劇を語れない気がする。
僕には東京の演劇情勢の病巣が垣間見えて仕方ない。



終演後、教え子と合う。相変わらず泪眼で、元気ですか?元気ですか?と繰り返していた。一途なその様は相変わらず可愛かった。

俺は もう、そんなに元気じゃねえよ!

 

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