2009年7月4日土曜日

演劇作りでの関係性とは

マルガレーテを熱演する「森勢ちひろ」

 

この度ウンプテンプ・カンパニーのコアメンバーに女優・森勢ちひろが参加した。

彼女とは過去に何回か一緒に作品を作ってきていて、何故か常に重要なキーパーソンに成る役柄を演じている。

前回の「赤のファウスト」では悲劇の構造を背負い込むマルガレーテを演じきった。

公演が終わって、彼女は自分は全然ダメだったと暫く落ち込んでいたらしい。役者として欲がわき始めたなと、一皮剥けた女優を目の前にして密かに僕はほくそ笑んだ。


演劇は関係の芸術である、と多くの先達が言っていたが、僕もそう思ってきたし、これからも演劇に於ける関係性を拘り続けていくことになるだろうと思う。

以前、僕が考えていた演劇での関係というのは、その時々の現実社会の雛形のような物でありたいと思ってきた。


しかしいつの間にか、時代は経済と言う怪物が暴れ回っているようで、演劇表現がもたらす固有の価値を生み出しにくく成ってしまったように思える。

演劇集団の在り方を根底から捉え直さなければ、直ぐに足元をすくわれてしまう、今はそんな演劇を取り巻く状況のように思える。

どの演劇グループも作り手の現実的な問題として、様々なアプローチをしながら芝居作りや集客を考えているはずであるが、制度化された現実をどこまで受け入れるかが最大の難問であると思う。

きちっと密度の濃い芝居を作ること自体が難しくなっている。いや表現全般において同じであろう。おかしな時代だとつくづく思う。

良い芝居を作るための関係性を拘っていかなければ成らない。

言う生やすしである。その事を踏まえて期限付きでスタートしたウンプテンプ・カンパニーは、「良い芝居を作りたい」その一点で座の組み方を、残り2年間は拘ろうと考えている。

 

演劇を作るのと同じように、集団性の模索は意識的に常に続けていかなければならないのだと思っている。開いた集団を目指して…

 

 

 


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